トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(カナダ・ガーナ) 活動報告書(10月)
獣医学群獣医学類3年 前田沙優里
今月のテーマは「語学」と「ホームステイ」の2点である。私が現在受講している語学学校(ESL)とホームステイでの生活も残り1か月となり、大分勝手がわかったので今回のテーマとすることにした。
ESLの入学オリエンテーションの様子(9月20日)
1.語学学校で学ぶということ
短期を含めれば、今の日本において海外の語学学校で学ぶことのハードルはかなり低いのではないだろうか。海外の語学学校といっても、大まかに2つの種類がある。私立か大学付属かである。私の通っているESLはサスカチュワン大学付属語学学校なので後者である。付属であることの特徴は、私立よりもアカデミックな内容を中心に学ぶこと(ノートテイキングやディスカッションなど)と、大学進学および大学院進学を見据えた生徒が多いことだろう。また、大学付属の場合は大学の施設を利用できるという利点がある。しかし、レベル別けのクラスの数は恐らく一般的には私立の方が豊富であり、私の通っているESLには英語学習入門者レベル向けクラスはないので初心者レベル以上であるようにという注意書きがある。
さて、英語学習を日本国内で済ませることができたらどんなに経済的だろうか。ずっと英語が一番の不得意科目であった私にとっては留学未経験で英語が堪能な人への尊敬の念はすさまじいものだ。しかし、海外の語学学校でしか学べないと感じる点もあるのが事実だ。以下にその一部を紹介しよう。
・いろいろな国の訛りに慣れる
生徒は世界中から集まる。最初は、綺麗な英語が話せるようになりたいからカナダに来たのに、カナダ人よりも他国の人と話すことの方が多い…なんて思うかもしれない。しかし、私達の英語学習の目的というのは、綺麗な英語に慣れること以上にツールとして使える英語力を身につけることではないだろうか。非英語圏の人たちと英語を用いてやりとりすることは、これから先多いはずである。その点で、日本語訛りに慣れていない人と話し、うまく伝えること、日本ではなかなか出会えない様々な訛りのある英語を耳にすること、というのは重要な学びであると私は認識している。
・”いま”の言葉を学ぶことができる
言語とは日々変化するものである。授業では、テキスト(アメリカのものを使用)ではこの使い方はしないと書いてあるけど、今は使って大丈夫。といったことや、近年のアメリカでは使ってよいとされることでも、カナダではまだ分法的間違いと認識される。といやったことを知ることができる。
・様々なアクティビティを通し、カナダに関して知ることが可能
授業とは別に自分の興味あるカルチャーを選択することができる。例えば、アイスホッケーを観戦するにしても、ESLのサポーターが事前にルールなどを解説してくれる。また、CAPミーティングというのへの参加が初年度の学生には義務づけられており、そこでは毎回、カナダでの安全対策や、防寒について、保険システム、ホームステイでの注意点といった留学生に必要な情報を教えてくれ、サポートが手厚い。

アクティビティ「Fall Supper」
カナダの伝統的夕食を教会で食べた。

カナダの国民的スポーツであるアイスホッケーを観戦
2.英語と日本語は違う
当然だが、英語と日本語は全くの別物である。文法も違うし、はっきり日本語に置き換えられないニュアンスも多い。今回、私が書きたいと思っていることは、あえて英語のことではなく日本語についてだ。
カナダで生活をしていると、よく「相手を気遣うことば」を声かけたいのに、自分の感情にぴったりくる英語がない(または思いつかない)ということが多々ある。日本語には相手を思いやることば、気遣うことばが多いのだ。例を挙げよう。先日、日本の映画を英語字幕付きで観たときのことだ。「ただいま」「おかえり」の英訳は「I’m home」「Welcome home」となっていた。ぴったりくる訳といった印象だ。しかし、個人的にこれらことばには、「今、家に戻ってきたよー(嬉しい)」「おお!帰りを待っていたよー」のようなちょっとした喜びの掛け声や相手の無事の帰りを嬉しく思う気持ちといったニュアンスがあるように思えてならない。ちなみにカナダでは、家に帰ってきても無言である。たまたま会ったらHiって声をかけるくらいだ。また、外国語にない日本語で有名なのは、「もったいない」や「いただきます・ご馳走さま」などであろう。「頑張って!」というのも、直接変換できる英語はないので、Good luckやI hope…,You can doなどを状況によって使うこととなる。「お疲れさま」も同様だ。
日本語には相手を敬うことばや、思いやることばが多い。日本人の性格的にも、断るときは相手をあまり傷つかせないようにやんわりと(欧米人にとってははっきり伝えることが優しさなのだろうが)というのが一般的だ。私はそのような相手を想う表現が豊富な日本語が好きである。英語漬けの毎日を通してより一層感じている。
3.ホームステイ
私が現時点で感じているホームステイは結論からいうと、1か月で十分だということである。あと少しで2か月目に突入するのだが、正直残り1か月あるので少しでも早く切り上げようかと考えている次第である。という私個人の考えはさておき、客観的にホームステイについて記述しよう。ちなみに、私は短期のホームステイを過去にオーストラリアとロシアでしたことがあり、大変良い思い出となっておりホームステイ自体は非常に有意義なものだと認識している。
○ 短期と長期に違いはあるのか。
短期(1か月くらいまで)契約はボランティア色が強い印象だ。週末はホストファミリーとお出かけしたり、小さな子供のいる家庭で子供たちと遊んだり。または、ホストファミリーとのコミュニケーションを楽しんだり、日本からのお土産を見せて日本を紹介したり。受け入れる学生を楽しませてあげよう、ホストもその学生の国の文化に興味があるということが多いような気がする。
長期の印象は、居候感・ビジネス色が強い。ESLの多くの学生が最初はホームステイを選択するのだが、多くのステイ先はシングルマザーで子供が大きくなり家を出た後で空き部屋が多い家庭といった印象だ。一緒にお出かけなんてまずない。忙しい家庭の場合は、食事をとるときはいつも一人、会話もあまりないということもあり得る。日本文化を紹介したくても、また今度と断られることもある。とはいえ、お金を支払っているので、自室、最低限の家具、毎日の食事、清潔なシャワー室は確保する義務がこちらにはあり、不足があれば主張する権利がある。
Thanksgiving Dayをホストファミリーや親戚と共に祝った。
カナダでは、七面鳥とマッシュポテト、グレービーソースにパンプキンパイを食べるのがこの日の定番だ。
○ メリット
- 現地の一般家庭を知ることができる。
- 食事を作らなくていい。
- すぐに質問できる。(どこで何を買ったらいいかなど)
- 到着時は空港まで迎えに来てくれて楽。
- 困ったときに頼れる。(私は過去にバスの中に忘れ物をして助けてもらった。)
- 祝日を楽しめる。
- ESLのテスト合格率が高いというデータがある。
○ デメリット
- なにかと気を遣う。
- ハウスルールがある。(私の場合、シャワーは1日1回まで、夜9時までに終わらせること。毎週末の予定を事前に伝えることなど。)
- キッチンが使えない。(電子レンジは除く)
- 人によっては食事が合わない。
- 夜遅くまで遊んだり、外で勉強したりできない。
どんな滞在方法でも一長一短あるのが現実だろう。これからホームステイを考える人がいたら参考にしてもらえると有り難い。
ステイ先の自室からの景色。こちらは現在、すっかり冬である。
私のホストファミリーは、ホストマザーとホストシスターの2人と猫1匹である。(今は、私の隣の部屋を借りている人がいるのだが、正体は不明…)独立している息子が2人おり、長男は新婚旅行で日本各地を回ったことがある。頻繁に日本人の学生を受け入れており、親日的な家だ。食事は比較的に健康的で、料理がとても美味しい。だが、アジア料理の麺類の作り置きが個人的に苦痛。特にラーメンの作り置きだけはやめて欲しい…
余談だが、ラーメンの話をしよう。ごく普通の沸騰した鍋に入れて、スープの素を入れるだけといった日本のラーメンがカナダには輸入されているのだが、なぜが食べ方(作り方)は2種類。スープに麵という日本で一般的なものと、フライドヌードルという汁なしのもの。後者はある意味スープを全部飲んでいるようなものなので若干健康面が怖い…そして、先述したCAPミーティングでは、健康についてのレクチャーもあったのだが、「ラーメン1袋(日本の1人前ラーメン)だけでこんなに高カロリーで高塩分です。実際ラーメンを食べるときは1袋では足りないですよね?頻繁に食べないよう注意しましょう。」と紹介された。まずは、1袋で済ませるところから初めてもらいたい。
話が脱線したが、私のホストファミリーに対して大きな不満はなく、ハズレの家庭に当たったわけでは全くない。しかし、私がなぜ一刻も早く、辞めたいかというと、ハウスルールのお風呂と夜遅くまで外出できない点、キッチンが使えない点が大きなストレスとなっているためである。牧場に通っていたころは、頻繁にシャワーを浴びられないのが苦痛だったし、テスト前に図書館やカフェで遅くまで勉強したくてもなかなかできないというのは自分で思っていた以上に負担となった。また、わたしの家庭は、食事は皆で楽しむものというより、食べたいときに食べるという印象なので、揃って食べる時間はわずか。よってコミュニケーションも少なく、ホームステイによって語学力が上がるとは到底思えない。たまに、中国人や韓国人とごはんを一緒に食べると、食べ始めるのも食べ終わって席を立つのも一緒、会話やみんなとの時間を楽しむといった日本の食事概念と近く(年上から食べ始めるなど細かい違いはあるが)とても心が安らぐ。また、日本の家庭料理を食べたいと言ってくれる友人が多い中、披露してあげることができずもどかしい。日本では一人暮らしで自由に生活していたこともあるのだろうが、メリット以上にデメリットが目立っているのが私の現状だ。
3.最後に
今回は、あえて正直に今感じている生活の不満も記載してみることにした。毎月の報告書だからこそ、全てが美化されたり、強く印象づいたことだけを記したりすることなく、進行形の現状を報告できたらいう経緯によるものだ。
今週はESLの2回目のテスト週間(1回目のテスト週間は先週終わったばかりだが)が始まる。気を引き締めたい。