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掲載日:2015.04.18

アメリカ・フィンドレー大学 留学レポート(2月) 佐藤将太さん

先月は少し歯がゆく悔しい月となりましたが、今月は先月の我慢のかいがあって、充実した月を過ごすことができました。聴講と授業の両立、課外活動とボランティア活動など、様々なことを行いました。特にボランティアでは、私にとってかけがえのない経験をすることができました。

1日目の宿泊先の教会地下

1日目の宿泊先の教会地下

2月の終わりに、ハビタット・ヒューマン・ソサイアティのボランティアとして7日間ジョージアへ行きました。ハビタット・ヒューマン・ソサイアティとは貧しい人たちに家を与えるボランティア団体で、世界中で活動しているものです。そしてフィンドレー大学にサークルとして存在し、毎年、春休みや夏休みなどの休暇を使って、年に2、3回この団体のボランティアとして活動しています。活動内容は毎年異なるようで、一から家を建てたり、使われなくなった家をリフォームしたり、古い家を壁の張替えやペンキ塗りなどを行いきれいにしたりと様々なことをしてきたと聞きました。これらの活動は、フィンドレー大学を取り仕切っているサークルがあり、昨年の秋頃にその人たちが報告会を開いた事で知りました。その時に、そのサークルの代表である友達イングリッドと、その顧問のクリスタルさんに誘われて私も参加を決めました。
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30人はゆうに泊まれるキャンプ場

目的地のジョージアまでは車で15時間と大変な距離でした。私たちは、4台のバンを使ってそれぞれに二人ずつ運転できる生徒が乗っての移動でした。当初の予定では、行きも帰りも朝早くに出発し一日で行く予定でしたが、出発予定日のフィンドレーの天候が荒れるという予報が出たので急遽一日早く出発し、そのかわり午後から2日がかりで行くということになりました。参加した人数は約30人で、知り合いの日本人が2人いるだけでほとんどがアメリカ人でした。みんな大変フレンドリーで活気があり、車の中では話をしたり、歌を歌ったり、歌いながら踊ったりと楽しく過ごすことができました。一日目の滞在場所はルートとは少し離れたケンタッキーにある、教会の管理するベースメントで、広場や物置、ミサの行われる場所、司祭の部屋などを自由に使用し寝泊りができるまさにアメリカならではの場所でした。そこについた時点でもうすでに夜9時を回っていたので、何人かのグループで周りを散歩し、次の日の早朝での出発に備えて早めに解散、就寝しました。次の日には朝5時出発と早い時間から動いたかいがあって、夕方前にアルバニー市にある本来の滞在先につくことができました。そこは大きなキャンプ場で、私たちが実際に寝泊りした大きなウッドハウスの他にも、協会や農場、池や、食堂など、様々なものがありました。その日はボランティア活動が行われず、オリエンテーションや打ち合わせなどを行いました。ほかには、みんなの自己紹介を含めての簡単なゲームをしました。アメリカ人にとってはポピュラーなゲームでも私にはわからなかったり、少し長い説明になったときは、知っている人しらない人かかわらずみんな声をかけて、簡単に言い換えてくれたり、分からないところがあったら優しく教えてくれたりと、みんな優しく積極的でした。
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担当した家(改装前)

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窓の修復

二日目からはいよいよボランティア活動が始まりました。最初にこの期間のあいだにお世話になる大工の紹介から始まり、全体のスケジュールとその日1日で行うノルマを説明してもらいました。今年は1から作るというのではなく、昔使われていた家の状態を調べ、必要なところを直し、水のジェットを使ってきれいにし、ペンキを塗り直すというものでした。今回担当された家は4つで、2つはもう人が住んでいて、残り2つは空き家でした。それぞれの家でグループに分かれ、同時進行でそれぞれの家を修復していきました。私は最初空き家のグループに行ったのですが、構造のチェックをした時に大工たちは非常に驚いていました。どこもかしこも統一性がなく、窓を支える木材の配置はひどく不安定で、ほとんど作り直しに近い状態だと言っていました。それをどのように問題でどのように直していくかということを、私たち生徒にもわかるようにかつ専門的に教えてもらえたので、具体的な方向性が把握できたと同時に、その大工の人たちのすごさと優しさを実感しました。そのあとからは、指示に従いながら作業をしていきました。壁をはがし、壁板をはがし、窓の周りの木材をすべて取り外しました。私は最初道具の名前がわからなかったので戸惑いましたが、周りの人達が一つ一つ優しく教えてくれたり、少しでも戸惑ったりしていると、どうしたのとみんなが声をかけてくれたりと、とても温かい人たちに囲まれていたので、積極性を忘れずに取り込むことができました。
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みんな楽しみながらやっています!

3日かけて窓を直したあとは、グループをかえ、ペンキ塗りを手伝いました。フィンドレーではまだ雪が降っている中、ジョージアの気温は20~25度と初夏並みの暑さでした。雨の予報も全く当たらず強い日差しの中行っていたので、暑さがとても苦手な私にとっては大変な作業でした。しかしみんなで色々な話をしながら、時には歌い、時には踊りと、とても楽しみながら作業が出来ました。私たち生徒だけでなく、住民や大工の奥さん方などみんなで一緒になって楽しみました。2日かけてのペンキ塗りが終わった5日目の夜、みんなで集まってのキャンプファイヤーをしました。みんなで火を囲いながらお菓子を焼いたり、ゲームをしたり話をしたりと大いに盛り上がりました。その中でもある大工の方が話をしてくれました。「毎年いろいろな大学から生徒が来てくれることを楽しみにしていた。けれども少し前に来た大学生が、あまり態度が良くなかったり、遊んでいたりとあまり印象が良くなかったため今回来る人たちが少し不安だった。しかしそんな不安を吹き飛ばすような素晴らしい人たちが来てくれた。話すことが苦手な人はその分行動で示し、楽しみながらやっているかと思えば、大切な作業の時には真剣な態度でやってくれる。何よりも次はどうすればいいかという受身的な態度だけではなく、次はこれですか、これはこうすればいいのではないかと情熱を持ってやってくれている。そんな生徒たちと約1週間一緒に過ごすことが出来て本当に嬉しく思う」、と語ってくれました。私はその話を聞いて本当にその通りだと感じました。ここにいたメンバーは全員がただ優しいというだけでなく、自分から何かできないか、何か困っていることはないかと積極的に聞きあっていました。私のところにも、日本人が英語を話すのが苦手だと分かっているので何かがあればその都度聞きに来てくれました。これに気づいてから、私も彼らに見習って自分から積極的になり、ただ聞くだけでなく自分なりに考えながら意見を持っていこうと心がけました。正直これは一般の大人の人たちからしてみれば当たり前のことかもしれませんが、私にとって一番忘れていたことであり、かつとても重要なことだと思えました。これだけでも、このプログラムをしたことの大きな収穫でした。
その次の日の作業最終日では、いつもより静かに作業をしていました。一人ひとりがこの短くも充実したこの活動に、それぞれ思い思い作業をしているのが分かりました。作業終了になると、以前は不安定だった窓が頑丈なものとなり、薄汚れ、ペンキがほとんど剥がれ落ちて元の色がわからなかった家は、新築のように色鮮やかになりと見違えて変わっていました。まだ内装がほとんど終わっていないところや全く手をつけていないところがありましたが、それは次にくる新しいボランティアの学生に引き継がせるということでした。自分たちがやってきたものが、ほかの人たちに引き継がれ、最後には必要としている人たちの手に渡る、それが人と人とをつないでいるということがはっきりと感じられて改めてとても良いプログラムだと思いました。その日の夜にはみんなで集まってこの1週間を一人ずつ振り返っていきました。たった一週間でしかもお互いに学校でまた会えるにもかかわらず、みんな泣きながら話していました。代表でもあり友達でもあるイングリットに関しては、泣きすぎて何を喋っているかわからないとみんなで泣きながら笑い合っていました。お互いほとんど知らなかった人たちと1週間同じところで寝泊まりし、一緒に同じ作業をしながら、様々なことを話し楽しんだので、彼らの気持ちがとてもわかりました。そんな一夜を過ごしたあとまた朝5時から出発し、無事にプログラムを終えました。
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7日間一緒にやってきた仲間たちとの集合写真

このプログラムが終わったあと、私を含め多くの人が頻繁にこのサークルの活動に参加するようになりました。あの時のメンバーに会いにいくことや、あの時に親切にされたことを自分が今度はやる側になりたいという気持ちからでした。また、こういった気持ちがボランティア活動をつなげていくのだなと強く思いました。私が国際交流サークルSukaRelaの代表をやっていた時は、自分も含めみんなにこの気持ちを持たせようという考えには至っていなかったなと反省しています。もしまだ何かしらの機会があればこういった気持ちを持たせつないでいくボランティアができればいいなと思っています。

酪農学園大学社会連携センター(2015.04.18)|国際交流, 現地レポート(留学)

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