
掲載日:2017.10.20
2017年度カナダアルバータ大学集中英語研修
農食環境学群 循環農学類2年 長谷川千夏
はじめに
私はコンプレックスである英会話力を少しでも向上させるためにこのプログラムに参加した。私は高校生の時、ESDに関するユネスコ世界会議に北海道代表として参加したが、うまく話せずとても悔しい思いをした。また、本学入学後、「酪農学園大学WAKKA」というボランティア団体を立ち上げ、国連機関に寄付をした際も、国際的な活動をしているが英会話が上手くない自分にコンプレックスを持っていた。私は今回のプログラムでとにかく沢山会話し、自分に自信を持ちたいと考えていた。
出発
8月24日、私は新千歳空港を出発し、成田空港、バンクーバー空港、エドモントン空港と乗り継ぐ予定だった。しかし、トラブルに見舞われた。成田空港に着いた時、エアカナダのカウンターに呼ばれ、渡航許可が下りていないと言われeTA(電子渡航認証)を取得しているか聞かれた。もちろんeTAは取得していたのでコピーを見せるとカナダ側のミスでパスポート番号が誰かと入れ替わっていることが発覚した。再度取得し直したものの結局、予定していた便には乗れず、千葉に一泊して次の日の同じ便でカナダに向かった。予定では同じプログラムに参加する吉岡さんと二人でエドモントン空港まで行く予定が、まさかの事態でそれぞれ別に行くことになっていまい、とても不安な中、なんとか無事にエドモントン空港までたどり着くことができた。私はこのトラブルがあったことで肝が据わり、カナダではどんなトラブルにも冷静に対処できたと思う。そして今思えば思い出に残る良い経験だった。

エアカナダの飛行機
ELS(English Language School)
滞在中の平日は本学の協定校であるアルバータ大学のELS(English Language School)に通っていた。1週目は千葉大学と合同でカナダでの常識や生活する上で必要な知識や英語を学び、2週目からはESLオリジナルのライティング、スピーキング、リスニングなどを総合的にみるテストの結果を基に振り分けられたクラスで本格的に授業を受けた。私のクラスは生徒が13人中、日本人が千葉大学、和歌山大学の生徒も含めて6人と比較的日本人の少ないクラスだった。同じクラスには韓国、中国、メキシコ、サウジアラビア、イランから来た生徒が在籍しており、年齢もバラバラで17歳から私と同じ年齢の子どもがいる親世代の方までいた。互いに同じくらいの英会話力のため、会話中に難しい英単語が出ず話しやすく、会話するのがとても楽しかった。私のクラスはホームワークが多く、毎日小説を2章分読みこむため、家でも2時間は長文と向き合った。Activityを終えて帰ってからのホームワークはかなり大変だった。ELSは私にとってはかなりハードだったが日本と違う勉強法でより実践的に英語を学べるため、とても有意義な時間を過ごすことができた。

授業風景

担当してもらったEva先生

Classmates
Activity
ELSの後、様々なActivityに参加した。Fort Edmonton Park, Edmonton Humane Society, Edmonton Valley Zoo, Golf, Legislature, Pig Science Centre Tour, Archibald Equine Veterinary Centreなど今回は私が循環農学類、共に同じプログラムに参加した吉岡さんが獣医学類ということで動物や畜産に関するActivityが多かった。特に楽しかったのはCanadian Rockies Tripである。Banff National Parkに2泊3日滞在し、様々な湖や名所を訪れた。エドモントンからバスで5時間程度と、とても遠かったがどこを見ても美しい景色が広がっている素敵な所だった。特に湖は石灰が溶けているため、一見人工的にも見えるエメラルド色をしており、写真を撮るのが素人の私でも絵になるほど美しかった。ここは絶対に人生で1度は訪れるべき場所だと周りの人にお勧めしたい。

Edmonton Humane Society

Banff

Legislature

Pig Science Centre
Host Family
私のHost Family はMotherと犬だけだった。近くに娘さんが2人と姪っ子さんが1人住んでいるためよく遊びに来ていたが、基本は私とMotherと犬の生活を送っていた。そのため、家にいるときは常にPrivate lessonを受けている感覚だった。私が1回で理解できないときも、何回もゆっくり発音してくれて、私でもとても楽しく会話することができた。食事は朝と昼は自分で作り、夜はMotherが作ってくれた。私は食事制限がありあまり多く炭水化物が食べられないが、カナダ人の家庭料理は比較的糖質が低く、また、Motherも気を遣ってくれたため、ほぼ気を遣うことなく食べることができた。そして一応お土産にインスタント味噌汁や日本雑貨など持って行ったがあまり反応は良くなかった。唯一反応が良かったのは折り紙だった。鶴は過去に受け入れていた留学生と作ったようだが、羽を動かせるようにアレンジを加えた鶴はとても喜んでくれた。また、別れる際にはお礼に小さい折り紙30枚で作ったボールを渡した。糊を使わずに作るそのボールは芸術的に素晴らしいと感動してくれて嬉しかった。そして別れる際にもう一つ、自分の団体である「酪農学園大学WAKKA」で作成したポストカードも渡した。このポストカードは私の団体で作り、1枚で2人分の給食になるように寄付させると話すと素晴らしい活動だと言ってくれた。自分の作ったポストカードがこのように世界で想いを伝えていると思うと感慨深いものがあった。

Host Mother

ペットのKaja
バス
エドモントンはバスがとても発達していた。1度お金を払うと90分乗り放題というシステムだった。1~3桁の番号がついたバスルートを見極めて乗らなくてはならない。番号が同じでも行き先が違う場合もある。私は滞在中、何度かルートの見極めに失敗し、果て地に連れて行かれた。1度、帰りのバスで失敗し、日が暮れた後の駅に取り残され焦った。私はFree Wi-Fiがある場所でしか連絡が取れない。しかし、なぜかそこで大学のWi-Fiが入り、連絡ができMotherに途中まで迎えに来てもらったこともあった。また、エドモントンのバスは降りる際、ボタンを押すのではなく、黄色いロープを引っ張る。これも最初は慣れるまで戸惑った。4週間滞在しているとさすがにバスにも慣れたが、とても印象に残る体験を多く経験した。

いつも使っていたバス停

バスの中
食事
ホームステイの所にも書いた通り私は食事制限があり、炭水化物が多くとれない。しかし、カナダ人の家庭料理はステーキやチリ、サラダなどが基本なため、家での食事は特に不自由しなかった。外食は様々な国の料理のお店があり、とても楽しかった。日本食はもちろんメキシコ料理、ウクライナ料理のお店が多かった。メキシコ料理はタコスやラップが中心で私もよく食べた。意外だったのはウクライナ料理だ。私は初めてウクライナ料理を食べたがワレニギという水餃子にサワークリームをつけて食べる料理はとても美味しかった。また、ベジタリアンやハラル食にも対応している店が多く、ベジタリアンやハラル食用のスーパーマーケットもあり、多民族多文化多宗教国家カナダの環境に驚いた。日本も観光客が増えている今、このような環境を作れないものかと考えさせられた。

ウクライナ料理 左がワレニギ
まとめ
私は正直カナダに行くまで4週間も生活できるか不安だった。英語はコンプレックスだと自覚していたし、TOEICは絶望的なスコアだった。しかし、実際に行ってみると思っていたよりもなんとか生活でき、英語力の向上はもちろん、多くのことを吸収した。特に多くのマイノリティが認められ、互いを尊重している環境は私が日本で感じていた違和感を取り除いた理想の環境だった。それはもちろん人間だけでなく、自然や動物たちにまで配慮が前提に考えられていた。もちろん私が見たのはたった4週間の滞在で見えた景色であり、ほんの一面かもしれない。しかし、日本人に不足している余裕をカナダ人は持っている気がした。コンプレックスである英会話力を上達させたくて参加を決めたこのプログラムだったが、少し上達した英会話力と新しい価値観を持って帰ってきたと感じている。私は今後、このプログラムで得たものを最大限に活かし、人生を歩みたい。

アルバータ大学