トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~地域人材コース(イタリア)活動報告書(9月)
酪農学園大学大学院 修士2年 髙橋 宗一郎
イタリアに来て半月が過ぎました。もう半月、まだ半月というところで、やっと少し慣れてきた部分が多いです。
空港での入国審査は特に問題なく、これまで大きなトラブルに遭遇したことはありません。
ローマはやはり観光都市としてかなり観光客が多いようで、その分物乞いをする人も見受けられましたが、アンコーナは夏の観光シーズンを終え、ゆったりとした時間が流れています。
特に私の住むカメラーノはかなりの田舎(イタリア語でいうカンパーニャ:La campagna)で、小さく静かで落ち着く町です。それでもスーパーやカフェ、ピザ屋にジェラート屋など、イタリア人の生活になくてはならないものは全て揃っています。
小さい町であるということと、アジア人がいるのはやはり目立つようで、一度会うと、二度目にはもう覚えてもらっているようです。
スーパーの店員さん、アパートの上の方、ご近所の方、皆さん親切に接してくださいます。服や生活用品などもおおよそ買い揃えることが出来ました。
アンコーナの中心部に何度も通い、月末にやっとポケットWi-Fiを購入することが出来、自宅でパソコンを使える環境を整えました。
立地的にも、人的環境にも恵まれており、生活のリズムが出来てきたように思います。
大学では私の到着とほぼ同時に授業が始まったようです。
私が通っている研究室はAgraria:農学部ですが、Scenza:科学部はイタリアでトップクラスの研究を行っているそうです。
また、私の研究室のCiani:チアーニ教授はワインやビールの酵母研究ではイタリアで一番の実績を持っていらっしゃるという話を研究室の方から聞きました。
色々な国から留学生が来ているようで、ベルギーとトルコからの留学生が同じ実験室を使っています。
基本的に皆さんかなり英語がしゃべれるようで、実験の詳細などは英語で解説されます。ただ、人によって英語の発音(特に””r””と””th””)に訛りがあり、慣れるまで英語なのかイタリア語なのか分からないことさえ多くありました。
研究室の皆さんも、とても親切で、イタリア語のサポートをしてくれます。
お土産のお菓子や折り紙、しおり、大学のポストカードやクリアファイルなどをとても喜んでくれました。
折り紙の鶴など、日本人がベタ過ぎると思うものでも、案外ストレートに日本らしさが出ていて喜ばれるようです。
英訳付きの和食の本はとても喜ばれました。
一人、日本のアニメが好きだという人が日本語の勉強をしたいということで、数字の読み方や、ひらがなの読み方などを教えるといったこともしています。
現在は彼らが大学で行っている研究に付き添い、手法を学びながら、時に作業のお手伝いをさせてもらっています。
例えば、ワイン酵母の主役的存在のサッカロマイセス・セレビシエの中でも、香りに関わる特定の成分を発生させない株の研究や、ブレタノマイセスというワインにとって良くない香りを生む菌に対する酵母由来の抗菌物質の試験等、本当に興味深い研究が行われています。
今後、さらにその研究に付き添いながら、語学力を向上させて様々なディスカッションを行えるようになることが目下の目標です。
9月29日(金)の夜にはアンコーナの中心部の広場で大学の全分野が出店のようにワークショップのテントを出す「Sharper:シャルペール」というイベントがありました。
年に一度のこのイベントはとにかく盛大で、研究していることを分かりやすく伝えるという印象が強かったように思います。
興味のある市民だけではなく、子どもも多かったのが驚きで、いたるところで子どもたちが夢中になっていました。大学のワインやオリーブオイルを試食できるところもあって、夜のアンコーナは大賑わいでした。こういったイベントに楽しみながら参加した子どもが次世代の研究者として自然に育っていくのかもしれないと感じました。
また、アパートのオーナーさんがアンコーナ在住の日本人ソムリエールを紹介してくださり、その方がイタリア語を習った先生を紹介してくださることになりました。
私の住むカメラーノにイタリア語学校があるらしく、その後もしくは前にプライベートレッスンをしてもらえるよう交渉中です。
さらに、紹介してくださったソムリエールの方ともお会いする約束をしており、私がアンコーナにいる内にワイナリー巡りに連れて行ってくださるとのことで、たいへん人とのご縁に助けられる留学となっております。