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掲載日:2019.03.01

海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・デンマーク)2月

循環農学類 喜多遼太朗

 11カ月間という長いようであっという間だった研修期間が終わりました。僕のこの1年の研修を評価するのは僕ではなく周りの人々なのですが、1年前の自分を想像した時、今の自分は確実に前進できていると思います。沢山動き、沢山学びました。
 今月はこの報告書も最後という事で、僕の研修を振り返ってみようと思います。

・デンマーク酪農について感じた事
 デンマークは他の国に比べ、アニマルウェルフェア・環境問題に対してかなり高い意識を持っています。それは農家だけでなく、国民の意識、認識も日本とは比べ物にならないほど高く、農業という産業に多くの目が集まっています。この1年間デンマークの酪農現場で働くという事を通し、日本では使用が許可されているものが使用禁止だったり、これまで意識した事がない事に対しルールがあったりなど、驚く事が多くありました。
 これから世界的な流れとして環境保全の意識が強くなってきます。デンマークではその意識が非常に高く、特に畜産・酪農に対し、マイナスなイメージを抱いている人が多くいます。最近では“肉の消費量を9割減らそう”“4本足の家畜(牛、豚)は食べるな”などと言われているほどです。また、こういった理由により特に若い世代にベジタリアンが増えてきています。
 そんな中で“酪農”という産業がどのようにこの流れに適応していくのか、デンマークでは今、試行錯誤されています。日本ではまだまだその流れは来ていません。しかし今、この問題に対面しているデンマーク酪農を知ることが出来たことは必ず将来に役立つと感じました。
 デンマークでは、アニマルウェルフェアの観点から、建築物(牛舎)に関して段階的に法改正が行われます。2034年にはフリーストールに関する法律が変わります(2010年7月1日以前に建てられた牛舎が該当)。内容は通路の幅に関してです(これもアニマルウェルフェアの観点から)。これにより今ある古いフリーストールでは経産牛を飼うことが出来なくなります。現在の酪農家の平均年齢が日本同様60歳を超えるデンマークでは、この年に向けさらに多くの酪農家が辞めていくことになると思います。
 新規就農、農家を継ぐ事もかなり難しくなっているデンマーク。酪農経営は厳しいと言わざるを得ないと感じました。

・教育について
 この1年で“教育”という分野に興味を持ちました。デンマークと日本では大きく異なる教育方法、方針を持っているように感じました。
 デンマークの教育では実習がすごく重要視されます。例えば農業大学では3年半の学校生活で合計2年ほどの実習(そのうち1年は海外に行くことが多い)が必修であったり、看護学校でも同じく3年半の学校生活で1年半ほど色々な病院で実習を積みます(日本では計半年ほど)。デンマークの就職面接では“あなたの技術、知識をどのように私たちの会社で役立てることが出来ますか。”とうスタンスで質問されるそうです。すなわち大学卒業時点で専門的な知識や技術が身についているように教育を行っています。
 また、学費は無料な上、毎月国から生活費がもらえます(月10万円ほど)。教育をしっかり受けさせ、より高いレベルで国民に仕事をしてもらい、税金を納めてもらった方がより良く国が回るという考えからです。

・デンマークでの農業研修を終えて感じた事
 日本の農業はこれからどんどん変化していく、という事を確信しました。一概にデンマーク、ヨーロッパのようになっていくとも言えませんが、少なくとも環境保全のための酪農縮小は世界規模の声になっていくと思います。そんな中どのようにこれからの酪農の形を考えていくのか、答えは全く見つかっていませんが、大きな課題になっていくと思います。
 しかし改めて、「酪農、いいな」と思えた1年でした。まだまだ学ばなくてはいけないことは多くありますが、一歩一歩進んでいきます。その大事な一歩となった1年でした。

酪農学園大学社会連携センター(2019.03.01)|お知らせ, 中間報告(農業研修), 体験談, 全件, 国際交流, 大学HP更新用

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