
掲載日:2018.11.05
海外農業研修報告書(国際農業者交流協会・デンマーク)10月
循環農学類 喜多遼太朗
サマータイムが終わり、日の入りがとても早くなりました。早めの初雪も降り、季節の移り変わりを感じます。また、異常気象であった今年の夏に比べ、例年に近い今の気候は1日の中で雨が降ったり、快晴になったりと、非常に気まぐれです。
今月は日々の仕事の近状報告と、デンマークの教育について話します。
放牧していた育成牛を全て牧場に戻してきたため、給餌を必要とする頭数が増え、夏場に比べ少し仕事量が増しましたが、仕事をこなす順番や方法を考え、効率を求めながら仕事をする癖がだいぶ付いてきたのか、さほど時間を割くことなくこなせています。
干ばつの影響で、デントコーン、牧草共に収量が例年以下のため、給餌には気を使っています。配合量を調節したり、残飼をなるべく出さないよう給餌量を若干減らしたりなどし、何とか来年の収穫時期まで持たせようという感じです。
基本的な仕事内容に変化はないのですが、ボスがよく“ここの掃除は○年していなかった”と言って嬉しそうに仕事をしています。そういう話を聞けると、少しは成長できたのかなと実感します。
デンマークは農業と共に、教育関係も世界的に有名です。今回はフォルケホイスコーレという成人教育機関の施設に、日本人会というデンマーク在住の日本人団体のイベントで宿泊してきたので、そのことについて書きたいと思います。
まず、基本的にデンマークの教育費は全て無料です。また、学生は毎月国から生活費を受け取ることが出来ます(寮生活、実家、アパートなどで支給額に差がある)。これは、デンマークで学生という身分に価すれば、海外からの留学生も同じく受け取ることが出来ます。なぜ、デンマークがこれほどまでに学生をサポートするかというと、国がすべての学生に教育の場を提供することで、大学卒業後、得た知識を活用し、長く税金を納めてもらうためだそうです。その考え方はすごく合理的だなと感じました。デンマークの教育は早い段階(16歳ごろ)に自分の学んでいく分野を選択していきます。さらに、高校、大学ではかなり実習が多めのカリキュラムになっており、日本の詰込み型ではなく、大学卒業と同時により多くの技術、知識を兼ね備えた人材、つまり、即戦力になる人材を育てるような教育方法であると言えます。
そんなデンマークの教育の特徴の1つにフォルケホイスコーレという種類の学校があります。ここは17歳以上ならだれでも入学できる全寮制の成人教育機関です。全寮制には社会性、人間性教育を行うことが目的にあり、おそらくこの、ファルケホイスコーレが世界で初の全寮制学校です。
実際にそこの学生と関わった感想としては、男女の変な隔たりもなく、学生みんなで楽しく学んでいるという印象でした。同年代の人たちと共同生活をするという経験をし、社会にでるのと、そうではないのでは、周りへの気配りなど、色々な面、人間性に差が出るのかも知れないと感じました。
最左が本人
今月はファルケホイスコーレで会った学生(日本人も含む)と話した時、一人ひとり違うバックグランドがあり、改めて人と話すことの楽しさを感じました。
だんだんと残りの研修期間も短くなってきているので、色々な話をいろんな人と出来るような時間を過ごしたいです。