
掲載日:2016.12.06
フィンドレー大学ベケット奨学金留学報告書(11月)
獣医3年 笠島総司
今月は日本文化を軸としたイベントに参加し、いくつかの農家を見に行く月となりました。獣医学生ではなく、日本人という立場でこの1ヶ月を過ごしたのではないかと思います。
11月初日には、Gifted Programのボランティアとして参加しました。これは大学側が成績が優秀な小学校高学年の子供達のために色々なアクティビティを用意するプログラムなのですが、私達日本人留学生は日本文化を紹介することになりました。限られた時間で如何に子供達を飽きさせずに異文化を伝えられるかという難しい課題でしたが、先生の立場になれる良い機会でした。子供達も積極的で楽しい時間を過ごせました。
子供達と昼御飯を食べました
また、2日にはHabitat for Humanity の活動でフィンドレー市内から集めた保存食を安い値段で売るというイベントに参加しました。このクラブの活動はいつも社会的価値のあるもので、1日参加するというだけでも魅力を感じます。仮に私がフィンドレー大学に正規で入学していたら、このクラブの主力メンバーになっていたかもしれません。
保存食の仕分をしている様子
最初の日曜日には個人経営をしている農家の家に行きました。決して大きな農場ではありませんでしたが、1つに依存しない様に色々な作物を育てていたり、牛の代わりに小さいスペースで飼育出来る羊を飼っていたりと、試行錯誤を重ねた農場スタイルを持っていてどことなく惹かれるものがありました。また、アメリカの機械は大規模農業用で彼の様な中規模で経営している人は敢えて海外産のものを利用しているなど中小規模農場ならではの話を聞くことも出来ました。
一列ずつ違う種類の作物を育てていました
自分で作ったチーズだそうです
農家のオーナーさんとのツーショット
次の週では2日連続で放課後に農場に行きました。1日目は数人で大学のAnimal science farmと馬術部の厩舎に行きました。特に印象深かったのは、厩舎の設備と馬の性格でした。殆どの馬が穏やかで、初心者でも触れ合えるのは衝撃でした。また、厩舎内に馬専用のマッサージ機があったり、大きな馬場が室内に3つ配置されていたりと、どうしても日本と比較してしまう時が度々ありました。
今回は3人で行きました
建物内に酪農学園大学のシンボルがありました
久しぶりに馬と触れ合って気持ちが昂りました
2日目は川村先生の紹介で、United Soybean Board(USB)という大豆農家を支援する会社と契約を結んでいる農家の人に話を聞きに行きました。彼は大規模農業を行っており、効率良く生産するために土壌サンプルを会社に送ったりGPSを利用して各エリアの収穫量を視覚的に比較したりと大きいならではの管理の仕方を聞くことが出来ました。また、予想以上に大豆が食用として生産されていない事を知り、日本人として少し複雑な気持ちになりました。
農家の人が乗っていた収穫機です
運転席を体験している様子
2週目の週末にはフィールドトリップとしてアメリカの黒人奴隷制度に関係する場所に行きました。まず初めにバスでシンシナティまでUnderground Railroad Museumという奴隷制度についての事が展示されている博物館に行きました。そこはただ単に説明文や写真があるだけでなく、カナダへ逃亡する奴隷達の気持ちを伝えているショートムービーや逃亡奴隷になりきって次の行動を選択していくゲームなど当時の奴隷達の立場を体感させるコーナーもあり、数時間しかいられなかった事が悔やまれます。また、オハイオ川沿いに逃亡奴隷を匿っていた牧師さんの家に行きました。私には話が難しく中々理解することは出来ませんでしたが、それでも当時の逃亡奴隷たちの立場を5感で感じることが出来ました。
シンシナティの名物料理を体験
ミュージアム前で記念写真
牧師さんの家の前で記念写真
中旬にはJapan Festivalという一大企画がありました。8月のKAKE festivalのスケールを一回り大きくしたイベントですが、今までフィンドレー大学にはこのような日本文化の企画が無かったと先生から聞きました。IELPの学生だけでなく、アメリカ人の学生や先生方も来て頂き、意味のあるイベントだったのではと思っています。
集合写真
友達も来てくれました
アメリカの人が1年で最も楽しみにしているThanksgivingの期間には9月にホームステイをしたJoniの家に行きました。Thanksgiving 当日には家族が集まり、皆で動画を作り、カードゲームをし、ご飯を食べました。ご飯は伝統の料理(七面鳥、マッシュポテト等)を食べました。この家の食事は美味しいので、いつもお腹いっぱいに食べていました。Black Fridayには人生最大の買い物をしたり、一緒に来た日本人の友達とアップルパイの作り方を教わったりするなど楽しい休暇を過ごせました。
Thanksgivingメンバーで集合写真
ショッピング後(Black Friday)
皆で作ったアップルパイ。私が作った物は右下です
月の終わり頃にはkinder gardenまで行き、子供達に紙芝居をしました。日本の話を英語でするというのは言い回しや感情表現の違い等でどうしても違和感を取り除く事が出来ず、上手に出来たかはわかりませんが、英語で話を聞かせる事が出来たのは自分の英語力に対する自信を付けられたのではないかと思います。また、何度か質問を問いかけると子供達がきちんと答えてくれたので、ちゃんと伝える事が出来たのだとホッとしました。
今月は1ヶ月とは思えないほど色々な事がありました。両親から経済的な支援を受け留学しましたが、その分の経験は間違いなく出来ていると思います。この機会を作って頂いた人々や環境に感謝し、12月も楽しく有意義に過ごします。