
掲載日:2015.06.05
カナダ酪農ワーキングホリデー(個人) 城拓也
体験レポート
2014年3月食品科学科(応用微生物学研究室)卒業
カナダ・酪農(ワーキングホリデー・個人)
城 拓也
私の実家は十勝の鹿追町で酪農経営をしています。高校卒業までは家を継ぐことをあまり考えていなかったのですが酪農学園大学に入学してたくさんの仲間や先生方と出会えたおかげで自分には酪農という道しかないと思い始めました。しかし私は食品化学専攻科に在籍しており大学に入ってから酪農の勉強をしておらずこのまま実家の仕事を始めるのにたくさんの不安を感じていました。そのため、大学卒業と同時に実習にいこうと決めました。酪農家の息子が卒業をして実習にいくことはよくある事ですが選択肢は2つありました。国内か海外です。私はすぐに海外実習を希望しました。理由はただ海外に興味があったからです。そしてこの機会を逃したら長期で海外生活を経験することも出来ないと思ったからです。
酪農学園を卒業し2014年4月10日からカナダのアルバータ州ポノカというところで実習を始めました。ポノカは主要都市のカルガリーから2時間の小さな町です。1大イベントは夏間近にスタンピーというお祭りがありたくさんのカウボーイたちが集まります。
私が1年間ホームステイした牧場はクレストメアーホルスタインといって家族経営で毎日笑顔の本当に素晴らしいファミリーでした。パーラーはタイストールで毎日70頭の牛の搾乳をします。夏にはすべての牛を放牧させて伸び伸びした経営をしていました。草もすべて自分たちで刈っているので夏は朝5時から夜の9時まで働き続けることも珍しくありませんでした。カナダと日本の牛の管理の仕方はほぼ変わりません。それも環境がほぼ北海道と同じだからです。しかし冬になると-40℃を超える日もあるそうです。私がいた年はラッキーだったようで-33℃が最低でした。それでも経験したことのない寒さでした。オーロラも3回見ることができました。
牧場の息子のリーは27歳で年も近く遊びや友達を紹介してくれたりしました。共進会が好きでとても牛に詳しくたくさんのことを教えてもらいました。私自身共進会にはすごく興味があったので色々な共進会に連れて行ってもらったり準備で牛をきれいにしたり個体管理を学べました。その経験が私にとってはカナダで1番のスキルアップになったと思います。また、共進会を通じて一緒にカナダに留学していた友人たちにも再会することもでき本当にいい思い出にもなりました。
私は1年間のホームステイを終えてカナダに行って本当によかったと思います。カナダの人たちはいい人ばかりでなによりもフレンドリーで日本人のことを気に入ってくれました。しかし私は英語をろくに勉強しないで留学したので言葉の壁は大きかったです。そして1年間全く知らない人の家ですべてを共にすることになかなか慣れることが出来ませんでした。さらに今までにクレストメアーホルスタインは20人以上の異国留学生がホームステイしたことがあるようなのですが英語が話せなかったのは私が初めてだったみたいです。しかしホストマザーのメアリーが毎朝英語を教えてくれたり周りの人たちが常に私のことを気にかけてくれたりして、とてもうれしかったです。そのおかげで語学学校に行ってなくてもたくさんの英単語や言葉を学ぶことが出来ました。いまでは日常生活で困らない程度の英語を身に付けることが出来ました。最初の3ヵ月は日本に帰りたいとか徐々に何をしにカナダに留学しに来たか分からなくなっていました。留学する前は、軽く考えていてカナダに行ってから後悔したことが多かったので、これから留学する人たちにはきちんと語学の準備をしていくことを薦めます。私が働きだした後にドイツ人とアイルランド人の留学生もホームステイをして一緒に働きました。仕事内容をほぼ私が教えていたので振り返ると本当にいい経験が出来たと思います。時々もらえた休みの日には友達みんなでロッキーマウンテン山脈に行き、夏はラフティングや乗馬、バーベキューをしました。冬にはスキー、スノーボードをしにも行きました。ほんとに日本じゃできない経験をたくさんさせてもらい、今まで考えたことがないことを学ぶことが出来たと思います。今まで日本でしか生活してこなかったので世界は本当に広いと肌で感じることが出来ました。
この1年間は自分の人生にとって間違いなく大切な1年でした。今海外留学をしようかどうか悩んでいる人がいたら絶対に行ったほうがいいと思います。辛いことやきつい事もたくさんあるけれど、帰国した私が思うのは、充実感とまたいつかカナダに行きたいということです。日本では感じることが絶対に出来ないことが待っています。間違いなく成長できると思います。全く知らない土地で家族も友達もいない状況でスタートすることは本当に不安でしたが、最後に「いつでもカナダに戻っておいで。あなたはもうファミリーなんだから」と言われて本当に感動しました。自分ひとりでは生きていけないと再確認できました。当たり前だったことが当たり前ではなくなり、日本はなんて便利で素晴らしい国なのだろうとも思えました。非日常だったカナダの生活は今では夢のようです。
これからは学んだことを活かしていけるよう頑張っていこうと思います。酪農を通じて出来た世界中のつながりを大事にして、何かにあきらめそうになったとき仲間のこと思い出してここまできたと思いこれからの北海道を引っ張っていけるよう頑張ります。

ロッキーマウンテン山脈にある氷河

夏にロッキーマウンテン山脈でラフティング

共進会で日本人のみんなと再会

ホストファミリーと最後の日